「学習院で行けない企業なんてありません」ヨット部時代に言われた衝撃的な妄言

昨年、在籍していたヨット部を辞めようとした時のこと。

1年生だった私は「統制」という1年生をまとめるポジションにあった2年生(当時)の先輩に相談した。

すると、呆れる事実を告げられた。

「辞めるなら、2年生・3年生・4年生のすべての先輩の承認を得なければならない」

果たしてどこの企業に、社長以下すべての先輩社員に退職の承認を得なければならない規則があるというのか。「部活」というのは不可思議かつ、ともすれば法令違反がまかり通ってしまう、数少ない組織体制だと思うばかりだ。

 

納得がいかないので大学当局(学生課)に予め相談して「部活の先輩全員に承認を得る必要はない」言質を取りつつ、2年生と3年生(当時)の先輩に連絡を取ることにした。学生課の対応もとぼけたもので、実に信頼ならなかったのは言うまでもないが、またそれは別の話にしたい。

もともとヨット部を辞めることを決意した理由にはいくつかある。

  1. 旧態依然とした体育会系の組織文化に起因する、各種違法行為が頻発していること
  2. 当初の説明よりも実際の活動時間が多く、インターンや資格試験勉強に時間を避けず、キャリア構築に支障が生じること
  3. 運動部常任委員会をはじめ、「伝統」で思考停止した体育会系組織に染まるべきではないと判断したこと

1番の【旧態依然とした体育会系の組織文化に起因する、各種違法行為の頻発】というのは他の同期も思っていたようで、後にヨット部を辞めた同期曰く、学習院大学ヨット部は悪いことばかりするので「悪習院(あくしゅういん)」、物を盗む(パクる)ことから「パク習院」などと他大学ヨット部から呼ばれていたという。

かつて、学内不祥事を弾劾した私が学生やOB・OGから「学習院を貶めている」と謂れのないバッシングを受けたが、むしろヨット部のような組織こそ、「学習院を貶めている」と言って良いだろう。

 

さて、その相談フローでのこと。法学科3年生(当時)のW.H.氏に辞める理由の説明を求められ、2番の【当初の説明よりも実際の活動時間が多く、インターンや資格試験勉強に時間を避けず、キャリア構築に支障が生じること】を告げたところ、実に噴飯物の返答を得た。

「学習院で行けない企業なんてありません」

世の中の大学というのは非常に多い。日本国内だけでも、偏差値では東京大学を頂点に数々の大学が存在する。そして偏差値や歴史で大学はグルーピングされる。例えば「旧帝大(旧帝国大学:北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州大学)」「旧帝一工(旧帝大および一橋・東京工業大学)」「早慶(早稲田・慶應義塾大学)」「MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政大学」「GMARCH(学習院大学およびMARCH)」といったものが挙げられる。

ここで学習院大学のポジションを確認しておきたい。

「GMARCH」としてMARCHと同等扱いされることは多いが、当然ながら旧帝一工や早慶には敵わない。そしてそれは大学受験の偏差値に留まらず、「学歴フィルター」として就職活動での採用候補者の「フィルタリング」にも用いられる。

 

学歴フィルターの使われ方は複数あるが、採用セミナーやインターンなどのイベントでの採用枠の限定、面接前の書類選考でのスクリーニングがメジャーだ。さて、本当に学習院で行けない企業はないのだろうか。

結論から言えば、ある。当時の私がインターンとして在籍していたのは某人材会社で、多くの企業の採用や求人の詳細を把握できる状態にあった。もちろん、企業の採用情報は基本的に口外できないので詳細は伏せるが、確実に「学習院で行けない企業はある」と断言できるだけの情報は得ていたのだ。

そんな状態で「学習院で行けない企業なんてありません」などと寝ぼけたことを言われたのだから、まさに噴飯物である。「学習院で行けない企業などない」と思い込みたいが故の発言だろうが、現実が見えていない。というか、就職活動を翌年に控えた3年生(当時)が、学歴フィルターを朧気にも把握できていないとしたら、それも大きな問題だろう。

 

一方、「学習院は学歴フィルターに引っ掛かる」事実を述べたところ、「客観的な証拠を出せ」と突っかかってきた政治学科4年生(当時)がいた。そして彼は述べた。

「(就職活動は)個人の裁量でどうとでもなる」

「電通に行った知り合いも、就活全滅した知り合いもいる。」

これもまた、「学習院で行けない企業はない」事実を認識できていない状態での戯言と言わざるをえない。また、確かに電通が多くの「就活人気ランキング」の類で上位にランクインし続けているのも確かだが、一方でこのような報道もあり、「本人次第」の証左として持ち出すには心許ない。

電通、新たなコネ入社「体育会枠」強化――理系&デジタルシフト打ち出すも離職者増え、振り切れず(My News Japan)

そしてその彼が、身をもってマッキンゼー・アンド・カンパニーのような戦略コンサルティング・ファームやゴールドマン・サックスのような外資系投資銀行に就職しているのならともかく、彼の進路はユーザー系SIerだ。確かに財閥系で優良クライアントも多く抱えていると聞くが、プロパーの社長すら輩出していない(同社の役員は資本参加している財閥系シンクタンクとフィナンシャル・グループ(FG)の出身者が多くを占めている)企業への就職をして、「学習院で行けない企業はない」とするには無理がある。

ちなみに彼が就職したSIerに資本参加している某FGの中核である某メガバンクは、歴代頭取が前任まで東京大学あるいは京都大学のOBで占められていた。やはり「学歴フィルターはない」と主張する方に無理がある。しかも慶應義塾大学OBの現頭取は前頭取の病気退任に伴う緊急措置としての就任で、やはりこれは反証にはならない。

そもそも、「学歴フィルターはない」かのように唱えるなら、そのメガバンクにおいては東京大学と京都大学のOBのみが努力して評価され、それ以外の大学OB・OGは怠けて評価を受けていないとでも言うのだろうか。だとすれば、それこそ学習院大学を含めた、東京大学・京都大学以外の大学OB・OGに対する誹謗であろう。

 

なお、ヨット部を辞める際、学生課に相談したことをそれとなく告げたら、実にあっさりと退部のフローが済んだ。結局はいかなる体育会系の組織といえど、大学当局に指導されそうになれば、正当性のない要求は引っ込めるということだ。